きょうのことばセレクション

指名委員会

2021.5.1(土) 掲載
 取締役会の中に設ける社長など経営陣の選解任を議論する組織。社長など経営トップが自らの人事を自分の裁量で決めず、透明性のある選解任プロセスを担保する役目を持つ。企業が任意で設置する場合もあるが、会社法で定められた「指名委員会等設置会社」という統治形態では設置が必須で、過半を社外取締役で構成する必要がある。
 指名委員会は社長などの人事のほか選定過程、後継者の育成基準などもチェックする。株主総会に提出する取締役選任案の策定を主導し、人選の理由や意図を投資家に説明する責任がある。2015年の企業統治指針の導入を機に設置は増えているが、半数は法的拘束力のない任意の指名委員会で、法定の指名委員会を設ける企業は東証1部企業の3%にとどまる。
 欧米では社外取締役が経営トップの選解任を主導するケースもあるが、日本では社内取締役が指名委員会の議長を兼任することもあり、外部の監督機能が十分に働いていないとの指摘もある。金融庁と東京証券取引所が今春に改訂する企業統治指針では、最上位市場のプライム企業を対象に委員会の独立性に関する考え方や権限を開示することが求められている。

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