きょうのことばセレクション

ワクチンパスポート

2021.5.1(土) 掲載
 新型コロナウイルスのワクチンの接種歴やPCR検査の結果などを証明するもの。経済の正常化に向けて、国内での行動制限緩和や海外との自由な渡航を促すことを目的に各国で導入や議論が進んでいる。イスラエルではスポーツジムや飲食店の利用時に接種証明の提示が必要で、米ニューヨーク州もイベント中心に運用を始めた。欧州連合(EU)は今夏までに「デジタルグリーン証明書」の導入を目指しており、域内での自由な移動を再開したい考えだ。
 国境を越えた自由な往来を目指すためには、接種したワクチンの相互承認が必要となる。中国は世界に先駆けて「国際旅行健康証明」を導入したが、先進国のほとんどで中国製ワクチンは承認されていない。中国外務省が相互承認に向けた交渉を進めており、自由な渡航ルール作りに先手を打った形だ。
 ワクチンパスポートには倫理上の懸念もくすぶる。妊娠やアレルギーなどの何らかの事情でワクチンの接種を控える人や、接種の優先順位が低い若年層への差別につながりかねないとの声も多い。日本は国内での導入は予定していないものの、海外渡航する際に接種証明が求められる場合を想定し、発行を検討している。
ワクチンパスポート