きょうのことばセレクション

固定費

2021.4.1(木) 掲載
 企業の費用のうち、売上高の増減に関係なく発生する費用をさす。店舗や生産設備などの減価償却費や人件費、支払利息、賃借料、地代家賃などが含まれる。原材料費や労務費といった、生産量や販売量に連動して増減する費用を「変動費」という。売上高から固定費と変動費を差し引いた金額が企業の利益となる。
 新型コロナウイルス禍による売上高の落ち込みを背景に、働き方の見直しやデジタル化を進め、固定費の圧縮に取り組む企業が相次いでいる。固定費を減らすと、売上高と費用が等しくなり損益がゼロとなる売上高をさす「損益分岐点」も低くなる。損益分岐点を上回れば営業黒字、下回れば赤字となるため、損益分岐点が低いほど減収になっても利益を出しやすい収益構造といえる。
 損益分岐点を実際の売上高で割った指標が損益分岐点比率で、企業のコスト競争力を見るのに用いられる。損益分岐点比率が相対的に高いのが航空会社や鉄道会社だ。機体や車両の減価償却費や乗務員の人件費、燃料費など乗客の多寡にかかわらず発生する固定費が重荷となり、大規模な赤字に落ち込む会社が目立っている。遠隔勤務が普及すれば出張などのビジネス需要がコロナ前から減る懸念もあり、固定費をどこまで抑えられるかが焦点になっている。
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