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家計貯蓄率

2021.3.1(月) 掲載
 一定の期間に家計が得た可処分所得のうち、消費支出に回らずに手元に残った貯蓄の割合を示す。日本では内閣府が国内総生産(GDP)統計の雇用者報酬などのデータをもとに四半期ごとに推計している。所得以上に消費すれば、貯蓄率がマイナスになることもある。
 2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で主要国を中心に貯蓄率が大きく上昇した。外出禁止などの行動制限で消費が抑制されたことに加え、世界各国が景気対策のために一時給付金を実施したためだ。日米とユーロ圏の合計では、現預金総額(M2)が20年12月までの1年間におよそ8兆ドル(約840兆円)増えた。ワクチンの普及や行動制限解除で、21年は膨らんだ貯蓄の取り崩しが消費を押し上げる見通しだ。
 足元の貯蓄率の上昇は一様ではなく、高所得世帯に偏っている。低所得世帯では現金給付などが生活の下支えになっているものの、コロナ禍の雇用環境の悪化などで所得環境は厳しい。経済正常化後の消費回復に格差が生じる可能性がある。
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