きょうのことばセレクション

全固体電池

2021.1.1(金) 掲載
 正極と負極の間に電気を通す電解質など、主要な部品を固体材料で作った電池。エネルギー密度が高いため、電池の大きさが同じでも電気自動車(EV)の航続距離を延ばせる。現在車載電池で主流のリチウムイオン電池は電解液が燃えやすい性質で、引火や液漏れなどのリスクがあった。固体電解質は燃えにくく、安全性が高い電池を作れる。セパレーターや冷却装置が不要で小型化しやすい。
 リチウムイオン電池の性能やコストの改善が限界に近づいているとの見方から、EVの航続距離を飛躍的に延ばす次世代技術として有力視されている。独フォルクスワーゲンやダイムラーなど自動車メーカーや、車載電池世界大手の寧徳時代新能源科技(CATL)などが研究開発に取り組む。
 現状では量産技術が確立されておらず、コストが高いなどの課題がある。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がトヨタ自動車など企業と取り組むプロジェクトでは、2018年時点のリチウムイオン電池と比べ、30年代にコストと急速充電時間をそれぞれ3分の1に引き下げる目標を掲げる。
全固体電池