きょうのことばセレクション

水素基本戦略

2021.1.1(金) 掲載
 燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しない水素は各国が重要な次世代エネルギーとして活用をめざしている。日本は2017年、各国に先駆けて水素基本戦略を策定した。30年までの普及に向けた行動計画や数値目標などを盛り込んでおり、現在は50年の温暖化ガス排出量「実質ゼロ」に向けて内容の見直しを検討中だ。海外ではドイツ政府が6月に国家水素戦略を発表し、中国政府は9月に燃料電池車の技術を開発する企業への奨励金制度導入を発表した。
 日本の基本戦略ではガソリンや液化天然ガス(LNG)といった従来エネルギーと同程度のコスト競争力の実現を掲げている。例えば水素の調達コストについて、30年に1N立方メートル(ノルマルリューベ=標準状態での気体の体積)あたり30円を目指すとしており、将来的には20円程度まで下げることを目標とする。
 大量の水素を国内だけで調達するのは難しい。今後は海外の資源国との連携をどう進めるかも水素基本戦略のなかで重要性を増してくる。例えば水素は石炭などからも作ることができる。海外に豊富に存在している未利用の化石燃料から水素を製造して調達できれば、普及の課題となっているコストの低減にもつながる。
水素基本戦略