きょうのことばセレクション

排出枠

2020.10.1(木) 掲載
自動車から排出される二酸化炭素(CO2)の規制について、目標値に届かないメーカーが超過達成したメーカーから排出枠(クレジット)を購入することで、目標値を達成したとみなすことができる。排ガスを出さない「ゼロエミッション車(ZEV)」を一定比率以上とするよう求めている米カリフォルニア州では、こうした排出枠取引が認められている。
 2021年から欧州連合(EU)で本格導入される排ガス規制でも同様の取引で対応できる。メーカーは排ガスをほぼ出さない電気自動車(EV)など電動車の投入を急ぐが、新車開発には数年単位の時間を要する。EUの規制では、メーカーによっては支払う罰金が数十億ユーロに上るおそれがあり、早期に目標値をクリアするには排出枠の購入が手っ取り早い。
 実際、EUでの規制導入も背景に、EV専業の米テスラは20年4~6月期の排出枠の販売額が前年同期比約4倍と急拡大。同社の収益を大きく押し上げている。一方、目標値に届かないメーカーは罰金を払うか排出枠を購入するかのいずれかを迫られ、新たな収益圧迫要因を抱えることになる。
排出枠