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電力自由化

2020.7.1(水) 掲載
東京電力ホールディングスなど大手電力10社が独占していた電力制度を改め、新規事業者が自由に発電したり電力を売ったりするようにすること。小売り分野では電力料金の引き下げなどを目的に、2000年から段階的に自由化が解禁。16年4月には家庭向け販売を含め全面的に自由化され、ガス大手やIT(情報技術)企業など異業種による参入が相次いだ。大手以外の小売事業者は「新電力」と呼ばれる。
 電力の小売事業者は6月時点で650社超にのぼる。新電力各社は大手と比べ多様な電力プランをそろえ、家庭向けを中心に大手から顧客を奪ってきた。経済産業相直属の電力・ガス取引監視等委員会によると、20年3月における新電力シェアは16.1%で、前年同月比1.2ポイント増えている。
 ただ、自由化前と比べた電気料金の下落率は家庭向けで実質3~5%程度にとどまる。新電力は発電コストが安い石炭火力発電所や原発を持っていない場合が多く、電力を安く販売できないからだ。法人向けでは一部の地域で大手電力が安値競争を仕掛け、新電力のシェアが落ち込む事態にもなっている。NTTによる大規模な発電所の整備で電力市場の競争が活発になれば、電気料金の下落などにつながる。
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