きょうのことばセレクション

資本注入

2020.6.1(月) 掲載
経営が悪化した企業に出資などで財務基盤を安定させる手法。普通株や議決権に制約がある優先株の取得、借入金の一部が資本と見なされる劣後ローンの貸し付けといったやり方がある。企業の破綻による取引先や関連会社の連鎖倒産、地域で金融不安が生じる事態を防ぐねらいがある。
 金融機関は融資の審査にあたり、企業の自己資本がどれだけ充実しているか重視する。資本注入で自己資本比率が改善すれば、追加の融資にも応じやすくなる効果がある。業績の回復後、投資先の企業が株式を買い取ったり第三者に株式を売却したりすることで、投じた資金を回収する。企業が破綻すれば回収はできない「リスクマネー」だ。
 新型コロナウイルスの感染拡大が長引けば幅広い業種に悪影響が出る。自己資本が大企業ほど充実していない中堅企業は赤字に転落すると債務超過に陥る場合が少なくない。官民ファンドの地域経済活性化支援機構に加え、地銀最大手の横浜銀行も劣後ローンに特化した融資枠を設けると30日、発表した。企業の資本増強を後押しする動きが広がる可能性がある。
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