きょうのことばセレクション

抗体

2020.5.1(金) 掲載
体の中に細菌やウイルスといった病原体が侵入した際、それを捕捉するために働く免疫分子で、一般的に「免疫グロブリン」と呼ばれる。「Y字」の形をしており二股の先端部分で病原体などを捕まえる。先端部分の構造は1000億種類以上あるといわれ、様々な病原体に対処できるといわれている。免疫グロブリンには「IgA」「IgD」「IgG」「IgE」「IgM」の5種類がある。
 血液中に最も多いのはIgGで、抗体の主力といわれる。このIgGを医薬品と活用したのが「抗体医薬」と呼ばれる医薬品で、狙った場所に結合する性質を活用する。Y字の先端部分の遺伝子を組み換えることで、狙った場所の働きをピンポイントで阻害できる。関節リウマチのような免疫異常による炎症活動を抑えたり、がん細胞が増殖する働きを阻害したりする治療薬が数多く実用化されている。
 治療だけでなく検査領域にも有効とされる。特に「イムノクロマト反応(抗原抗体反応)」と呼ばれる仕組みは、妊娠検査薬やインフルエンザウイルスの簡易検査キットにも使われている。
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