きょうのことばセレクション

抗ウイルス薬

2020.4.1(水) 掲載
ウイルス感染症の治療薬。ウイルス感染症では、体内に入ったウイルスが細胞に侵入して増殖し、またほかの細胞へ侵入するサイクルを繰り返すことで、爆発的に増える。体内の免疫システムがうまく対処できず、のどや肺、肝臓などで炎症が起きて様々な症状につながる。抗ウイルス薬は、ウイルスが細胞内で増殖する過程を食い止めて症状を改善する。
 増殖を防ぐ手法には幾つかの種類があり、薬によって違う。具体的には、細胞へのウイルスの侵入を防ぐ手法や、細胞内で自分自身を複製するのを防ぐ手法、複製されたウイルスが細胞の外に出て行くのを防ぐ手法がある。例えばインフルエンザ治療薬のタミフルはウイルスの放出を防ぐ。新型コロナウイルス感染症で効果が期待されるアビガンやレムデシビルは、ウイルスが細胞内で自身を複製する反応を食い止める。
 ウイルスは種類が違っても、侵入や複製、放出の仕組みが似る場合がある。こうした場合は、ある抗ウイルス薬が別のウイルスにも使える。アビガンは新型インフルエンザ向け、レムデシビルは当初エボラ出血熱向けに開発された。
抗ウイルス薬