きょうのことばセレクション

年功型賃金

2020.4.1(水) 掲載
年齢や勤続年数が高まるにつれ、賃金が増えていく仕組みで、終身雇用とあわせて日本型雇用システムの柱となってきた。会社の賃金制度上は「能力に応じて賃金を支払う」としていても、勤続年数に応じ能力が高まったと評価し、定期昇給を通じて結果的に横並びの賃金になるケースも多かった。
 同じ会社で長く働くほど賃金が上がるので、人材の定着に役立つうえ、長期的な視点で能力開発に取り組める利点がある。バブル期までは、日本型経営の強みとして国際的に評価されていた。一方で、社員一人ひとりの能力や成果にあまり関係なく賃金が支払われるため、社員個人によるスキルアップや創意工夫の意欲が高まりにくい。転職を含む労働市場の流動化を阻害しているとの指摘もある。
 社員の平均年齢の上昇などにより、企業は年功型賃金を維持できなくなりつつある。ただ、年齢に関係なく賃金を支払うには個人の能力や会社への貢献を正確に測る必要があり、客観的な評価が課題となる。現段階では成果が測りやすい40歳代以降で業績給の割合が高まり、賃金のバラツキ拡大につながっている。
年功型賃金