きょうのことばセレクション

マテリアルズ・インフォマティクス

2020.3.1(日) 掲載
統計分析などを活用したインフォマティクス(情報学)の手法により、大量のデータから新素材を探索する取り組み。MIと略される。実験や論文を解析して、素材の分子構造や製造方法を予測する。デジタル化の進展で膨大なデータをスーパーコンピューターなどの高性能の情報処理装置で操れるようになり、素材分野での応用が広がった。
 企業はMIの活用を本格化している。三菱ケミカルは横浜市にある基礎化学の中核研究所を2021年末までに約200億円かけて刷新し、MIを導入した最先端の研究拠点にする計画だ。JSRは米IBMの量子コンピューターの高精度演算機能で新素材の合成をシミュレーションする。
 課題もある。国内の化学メーカーは上場企業だけで200社を超える。MI導入の投資余力がない中小規模の企業も多く、デジタル時代に対応するには一段の業界再編が必要との声も多い。業界にはデータ解析の専門技術者が少なく、人材育成も欠かせない。
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