きょうのことばセレクション

緊急事態宣言

2020.3.1(日) 掲載
感染症拡大など健康を害する危険が生じた際、世界保健機関(WHO)が「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を表明することを指す。専門会合を開いて感染力や致死率などを分析。「国際的に病気が拡大して他国に公衆衛生の危険をもたらす」「国際的な対策が緊急に必要」と判断すれば、勧告と合わせて事務局長が宣言する。
 現在の制度が整備された2005年以降では、今回の新型コロナウイルスによる肺炎で6件目となる。宣言後、加盟国は感染者が発生した場合に24時間以内に通告する義務を課せられるほか、空港や港での検疫強化など水際対策の強化も求められる。ただし、勧告に拘束力はない。
 かつてはコレラ、ペスト、黄熱が対象だった。03年に重症急性呼吸器症候群(SARS)への対応が遅れたことなどから、WHOは05年に感染症対策の国際ルールの改正を決議。未知の感染症や生物・化学兵器への対策も含め、原因を問わず公衆衛生に危険を及ぼす全事象を対象とした。最近ではコンゴ民主共和国でエボラ出血熱(19年)が広がり、緊急事態が宣言された。
緊急事態宣言