きょうのことばセレクション

指定感染症

2020.2.1(土) 掲載
感染症法は、様々な感染症を感染力など危険性に応じて1~5類に分類している。新型コロナウイルスによる肺炎のように未分類だが早急な対応が必要な感染症は、政令で暫定的に「指定感染症」にすることで入院勧告などに法的根拠を持たせることができる。
 エボラ出血熱やペストなどは最も危険性が高い1類感染症、結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)などは2類感染症とされている。いずれも患者に入院を勧告し、従わなければ強制入院させることができる。一定期間仕事をさせない就業制限の規定もある。新型肺炎も指定感染症になれば、同様の対応が可能になる。未指定のままだと、患者に入院や自宅待機を求める場合も「お願い」にとどまり、強制力がない。
 保健所の勧告で入院した場合は医療費の公費負担制度がある。通常は医療費の自己負担部分が公費で賄われる。強制入院などの措置は患者の人権を制限する面があり、慎重な運用が求められる。政令による指定は1年以内が原則だが、必要に応じてさらに1年延長できる。それ以降は感染症法を改正して明記する必要がある。
指定感染症