きょうのことばセレクション

後期高齢者の医療制度

2019.12.1(日) 掲載
75歳以上の高齢者は働いて収入を得るのが難しくなる一方、医療機関を受診する機会は増えてくる。75歳になると健康保険は国民健康保険などから後期高齢者医療制度に移る。都道府県単位で運営されており、現在の保険料は平均で月5857円。受診時の自己負担は原則1割に抑えられている。
 43兆円の医療費のうち16兆1千億円が75歳以上にかかっている。このうち4割が現役世代からの「仕送り」で賄われており、負担は年々高まっている。大企業の社員が加入する健康保険組合からの仕送りは2018年度で1兆9千億円で、制度が始まった08年度から1.5倍に増えた。
 公的医療の財政は厳しく、75歳になっても2割負担を続けることを求める声は多い。しかし高齢者の反発や受診を控える弊害も予想され、実現してこなかった。見直しの機運が高まる背景には、団塊の世代が75歳になり始める22年度から後期高齢者人口が急増することがある。現役世代の負担がさらに重くなるため、健康保険組合連合会や経団連などが改革を訴えている。
後期高齢者の医療制度