きょうのことばセレクション

がん検診

2019.12.1(日) 掲載
市区町村による公的ながん検診は対策型検診と呼ばれ、1983年に始まった。ほかに企業に勤めている人が職場で受ける職域検診、個人の希望により人間ドックなどで受ける任意型検診がある。日本人のがん検診受診率は30~40%程度にとどまり、欧米諸国に比べると低い。国は50%以上を目標に掲げている。
 自治体の検診の場合、公費が投じられるため受診者の自己負担は無料か少額で済む。職域検診でも事業主などが費用の多くを負担するが、人間ドックで受ける場合は通常、全額が自己負担となる。自治体の検診費用にはかつて国の補助金が充てられていたが、1998年から市区町村が一般財源で賄うことになった。これを契機に自治体の裁量権が強まり、科学的根拠が乏しい検診が広がった。
 日本では以前、神経芽細胞腫という小児がんの検査を公的に実施していたが、検査が死亡率低下に結びつかないことが明らかになり、2003年に中止が勧告された。韓国では1999年から甲状腺がん検査の公的補助を始めた結果、検査が広まり患者数が急増したものの死亡者の減少には結びつかず、過剰診断を招いたと指摘された。
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