きょうのことばセレクション

未公開市場

2019.11.1(金) 掲載
未上場企業の株式を取得する場のこと。ベンチャー企業が発行した新株を投資家が買うのが一般的だが、新たな投資家が既存の株主から相対で買うケースもある。多くの投資家が売買に参加する公開市場と異なり、簡単には売却できない分、リスクは高いとされる。ベンチャー企業は利益を出せていないことも多い。
 投資額は年々拡大し、ジャパンベンチャーリサーチによると、国内の未上場企業による2018年の資金調達は4211億円と5年前から5倍に増えた。資金の出し手にはベンチャーキャピタル(VC)や個人の資産家、運用会社が多い。ベンチャー企業が持つ技術やサービスとシナジー(相乗効果)を得るため、事業会社も投資を増やしている。
 投資資金が増えるとともに企業の成長の仕方も変わってきた。従来は会社を設立したばかりの「シード(種)」、商品の販売やサービスを始めたばかりの「アーリー(初期)」段階への投資が大半だったが、近年では上場間近の「レイター(後期)」への投資が増えている。投資家が出資する際に評価した株式の価値に発行済み株式数をかけたものが企業価値と呼ばれる。
 1997年に開設された未公開株を売買するグリーンシート市場は昨年に廃止された。日本では米国に比べて早期に新興企業向けの市場に上場する企業が多かった。ベンチャーブームで未公開株への需要は強まっており、新たな仕組みを整備しようとする機運もある。テクノロジーを使った資金調達も増えてきた。
未公開市場