きょうのことばセレクション

人民元相場

2019.9.1(日) 掲載
資本規制が残る中国では人民元取引も中国本土市場とオフショア(海外)市場に分かれる。本土では主要な市場参加者である国有銀行の影響力が強く、当局の窓口指導や介入も頻繁にあるとされる。取引が自由な海外市場では外国人投資家の相場見通しが反映されやすく、投機筋の売買で相場が大きく変動することもある。
 本土市場で重要な指標が、中国人民銀行(中央銀行)が毎朝公表する「基準値」と呼ばれる為替レートだ。大手行十数行に相場実勢の提出を求め、加重平均して算出しているというのが人民銀の公式見解だ。だが人民銀は取引実勢が元安でも翌日の基準値に反映しづらくする元安抑制策を導入するなど、運用には恣意的な面が残る。基準値には当局の意向が反映されているとの見方が一般的だ。
 元の対ドル相場は5日、11年ぶりの安値となる1ドル=7元台に下落した。不調に終わった7月末の米中貿易協議や、トランプ米大統領が対中制裁関税「第4弾」の発動を表明した直後だったため、習近平(シー・ジンピン)指導部が輸出産業の下支えを目的に元安を容認したとの分析が多い。基準値も数日遅れて7元台を付けた。
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