きょうのことばセレクション

有志連合

2019.8.1(木) 掲載
国連安全保障理事会の決議などを経ずに、意思や能力のある国々が平和維持活動や軍事行動などに取り組む国際的な連携関係を指す。安全保障条約に基づく軍事同盟は参加国が固定されるのに対し、有志連合は各国が状況や目的に応じて参加を判断する。
 2001年の米同時テロ後、米国はアフガニスタンへの武力行使を明確に容認する安保理決議を得られなかったため、英国や日本など同盟国にテロとの戦いへの協力を呼びかけた。03年のイラク戦争開戦前にも武力行使の是非を巡って安保理常任理事国のフランスやロシアとの対立が解消されず、ブッシュ米大統領(当時)は英国など約30カ国とともにイラク攻撃に踏み切った。11年に始まったシリア内戦で過激派組織「イスラム国」(IS)が台頭した際は、クルド人勢力が米国主導の有志連合の地上部隊として機能した。
 対テロ戦争の際、米国はフロリダ州タンパにある米中央軍司令部に有志連合国が派遣した武官が集まる建物を設けて情報交換するなど緊密な連携を図った。一方、参加国が多彩になるほど通信システムや武器の違いも大きくなり、作戦調整に手間取ることもある。
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