きょうのことばセレクション

均衡為替レート

2019.7.1(月) 掲載
過去の為替相場やマクロ経済の指標などからみて「適正」とみられる為替相場を推計した数値のこと。実際の為替相場は日々のニュースや投資家の思惑などで上下に振れることが多いが、長い目でみれば内外の経済実態に沿って決まるという考え方に基づく。実際の相場は短期的には均衡レートから離れて推移することもあるが、やがては均衡に近い水準に戻っていくとの見方にもつながる。
 単純な均衡レートの求め方としては、一定期間の相場の平均値を均衡水準とみなすものがある。同じモノの価格は世界中どこでも同じになるはずだという「一物一価の法則」に基づく「購買力平価」も有名だ。ハンバーガーなど単一の品目を使って計算したり、消費者物価などの指数を用いたりすることが多い。世界銀行などが定期的に公表している。
 物価だけでなく金利差や政府債務、経常収支など経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を映す幅広い指標も加味して推計精度を高める手法も提案されている。今回の日本経済新聞社などの推計も、このタイプになる。国際通貨基金(IMF)は対外収支などから試算しており、米財務省も為替報告書で参照している。現時点では推計作業の煩雑さなどから定期的に公表している機関は少ない。
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