きょうのことばセレクション

経常収支

2019.7.1(月) 掲載
ある国が一定期間におこなった海外との経済取引のうち財やサービスの貿易、配当・利子の受け払いなどを記録したもの。経常収支の黒字は金融資産の蓄積を通じ、対外純資産の増加と結びつく。対外純資産の多寡は自国通貨の安定を左右する要因となる。
 国際通貨基金(IMF)によると、経常収支に企業の買収や株式投資など金融資産の動きを示す「金融収支」などを加味したものが国際収支となる。企業会計では一般的な「複式簿記」の形式をとる。すべての項目を合計するとゼロとなる。
 ただ経済のグローバル化に伴って、統計で把握しきれない取引が増え、合計してもゼロにならないことが一般的になっている。これを調整するのが「誤差脱漏」という項目だ。中国はこのマイナス幅が拡大しており、経常黒字ほど対外純資産が積み上がっていない。厳しい資本規制を敷く政府当局に隠れ、海外への資本逃避が起きているとの見方がある。
経常収支