きょうのことばセレクション

データ流通圏

2019.6.1(土) 掲載
国境を越えた個人や企業の自由なデータ流通を認める新たな貿易圏。2019年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、安倍晋三首相が流通ルールをつくるための交渉の枠組みを提唱した。日米欧などで先行して安全性や個人情報保護で高い水準を備えたルールの実現をめざす。中国も加盟する世界貿易機関(WTO)での新たな規律の形成も主導したい考えだ。
 国境をまたぐデータ流通の制度を整備することで、企業が円滑にデータを相互に移転できるようにする。一方、個人情報を保護する体制を担保することも重要になる。首相は6月に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議で、データ流通の議論を本格化させる「大阪トラック」と名付けた交渉の枠組みを提案する。
 あらゆるモノがネットにつながるIoT時代では消費者の生活に関するデータに加え、機械設備や工場などの産業データが大量に蓄積される。世界でインターネット利用者が増え、国境を越えるデータのやり取りは拡大を続けている。データを活用すれば経済成長につながるが、情報が不当に利用される恐れもあり、国際的な対応が必要になっている。
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