きょうのことばセレクション

外為法

2019.6.1(土) 掲載
正式名称は、外国為替及び外国貿易法。安全保障や国内産業育成のために、外国との貿易や資本取引を必要最小限の範囲で管理する。軍事転用できる素材や暗号装置などを含む一部の業種を対象に、日本企業を買収しようとする外資に事前の届け出を求め、審査している。一方で航空機や武器などの技術を外国から導入する企業にも報告を義務づける。
 制定されたのは第2次世界大戦後の1949年で、技術力の高い外資の導入などにより、戦後の日本経済を立て直す施策の一環としてだった。制定当時の外為法は、対外取引を「原則禁止、例外許可」としていた。その後、経済協力開発機構(OECD)への加盟など60年代以降の資本自由化の流れをうけ、80年に「原則自由、例外禁止」に大きく転換した。
 近年はIT(情報技術)の発展で軍事転用されかねない民間技術が増えたことや、主要国間の技術競争の激化により、審査を厳しくする傾向が世界的に強まっている。米国は2018年に外為法にあたる法律の強化を決めた。日本も17年の改正で、届け出無しで日本企業を買収した外資に対し株を手放すよう命じることができる制度を新設した。
外為法