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起訴

2019.5.1(水) 掲載
容疑者が罪を犯した証拠が十分にあると判断された場合、検察は裁判所に刑事裁判を提起する。これを起訴と呼ぶ。刑事訴訟法上は「公訴」とされる。国の機関に起訴権を限定することを国家訴追主義といい、日本は検察が起訴権を独占するのが原則。例外として、検察が不起訴とした事件を検察審査会が2度「起訴相当」と議決したときに裁判所指定の弁護士が検察官に代わって起訴する仕組みが2009年に導入された。
 起訴には公開法廷での正式裁判を求める「公判請求」と、簡易な裁判手続きで罰金などを求める「略式命令請求」(略式起訴)の2種類がある。検察官は証拠があっても犯罪の内容や情状を考慮して起訴を猶予する権限も持つ(起訴便宜主義)。証拠が不十分な場合は「嫌疑不十分」や「嫌疑なし」として不起訴処分とする。不起訴処分に疑義があれば、第三者が検察審査会に処分が適正かどうかの判断を求めることができる。
 2017年に公判請求された人数は計8万3988人。刑法犯の減少などを背景に04年の14万8939人から大幅に減った。17年に検察が扱った事件のうち、公判請求は7.9%で、略式起訴が23.1%、起訴猶予が57.0%、その他の不起訴が6.2%だった。
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