きょうのことばセレクション

優越的地位の乱用

2019.5.1(水) 掲載
独占禁止法が「不公正な取引方法」として禁じる行為のひとつ。企業規模の大きさや取引の依存関係などを利用して、取引相手に不利な取引条件をのませたり、無理やり商品を買わせたりすることを禁止している。違反すれば公正取引委員会による排除措置命令や、課徴金納付命令の対象になる。
 優越的地位の乱用規制があるのは日本や韓国などに限られており、世界の独禁法のなかでも特殊なルールとされている。日本での導入のきっかけとなったのは1950年代の朝鮮戦争特需だ。大企業から採算割れなどの受注を余儀なくされる中小企業や支払い遅延の増加が社会問題となり、独禁法に優越的地位の乱用規制が追加された。下請けいじめを禁じる下請法は同規制の簡略版だ。
 時代の変遷とともに、発動対象となる分野が変化してきた。制定当初は製造業が中心だったが、80年代以降は百貨店やスーパーなどの大規模小売店に摘発対象が移っていった。公取委内には優越的地位の乱用について摘発の専門部隊があり経済情勢に応じて重点分野などを決めている。
優越的地位の乱用