きょうのことばセレクション

特別検察官

2019.4.1(月) 掲載
米国の大統領や閣僚が不正に関与した疑いがある場合に捜査を担当する特別職の捜査官。司法長官に任命権限があり、政権の圧力を受けないよう、通常の検察官の指揮命令系統から独立して捜査にあたる。関係者の聴取や家宅捜索、必要に応じて起訴できる権限が与えられる。
 1972年のウォーターゲート事件では、捜査を担当した特別検察官を当時のニクソン大統領が解任し、司法長官も辞職に追い込まれた。司法の独立を脅かすとして米国内で大きな批判が起き、解任劇が起きた日時から「土曜日の夜の虐殺」とも呼ばれる。この事件後、特別検察官の独立性の向上を求める声が強まった。
 トランプ米大統領に対する捜査で特別検察官を務めたロバート・モラー氏は、2001年から12年間、米連邦捜査局(FBI)長官を務めた捜査のベテラン。米同時テロを受けてテロ対策の強化などで成果を上げた。共和党のブッシュ(子)政権と民主党のオバマ政権のもとで原則10年の任期を超えて長官職を続け、与野党を問わず議会の信頼が厚いことで知られる。
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