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毎月勤労統計

2019.3.1(金) 掲載
労働者の賃金や労働時間などの変化を把握するための統計。厚生労働省が毎月公表しており、国が重要な統計と位置づけている基幹統計の一つだ。雇用保険や労災保険などの給付額を決める際の算定に使われるほか、働く人が受け取る報酬の総額を示す「雇用者報酬」の算出にも用いられる。従業員500人未満の事業所は抽出調査だが、500人以上の大規模事業所に関しては、全て調べるルールになっている。
 今回の不正は、東京都内の大規模事業所について、全数調査の対象にもかかわらず2004年から3分の1程度を抽出して調査していたことが発端。18年調査からは実態に近づけるための復元加工を無断でしていた。04~17年は賃金の高い都内の大規模事業所が抜け落ちたことで賃金が低く公表され、雇用保険や労災保険の給付が過少になった。厚労省は、過少給付の対象がのべ約2015万人、追加給付額は約564億円にのぼるとみている。
 厚労省は1月に外部有識者で構成する特別監察委員会を設置し、同月22日に報告書を公表し「組織的な隠蔽は認められない」とした。しかし関係者の聴取に同省幹部が同席していたことなどで中立性に疑義が生じ、再調査に追い込まれている。
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