きょうのことばセレクション

家計金融資産

2019.1.1(火) 掲載
日本の各世帯が保有する金融資産の合計額は9月末時点では前年比2.2%増の1859兆円(速報値)。増加基調が続き過去最高額だが、多くの部分がほとんど金利の付かない預貯金に滞留する。消費や投資に比べ、倹約・貯蓄に重きを置く国民性に加え、バブル崩壊の経験や、将来への不安も原因とされる。長期デフレの下では実際、減価しない現金保有は理にかなっていたとの指摘も多い。
 この結果、金融資産の内訳は海外と大きく様相が異なる。日本では現預金の比率が5割超なのに対し、米国は1割強、欧州が3割強。株式や投資信託などリスク資産は米5割弱、欧3割弱に対し日本は1割強にとどまる。家計のお金を市場を通して企業などに回し経済を回す力が海外に比べ脆弱といえる。
 政府は少額投資非課税制度(NISA)などを通じ、個人マネーの投資への誘導を急ぐ。金融界もこれまでは1人当たり投資額の小さい資産形成ビジネスは収益化に時間がかかるため慎重姿勢だったが、最近は若年層取り込みに力を入れる。年金代わりとして人気だった毎月分配型投信などが、長期運用に適さないとして売りにくくなったという事情もある。
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