きょうのことばセレクション

日ロ平和条約

2018.10.1(月) 掲載
平和条約は敵対する勢力が戦争状態を終結させ、領土問題などを解決するために結ぶ。第2次世界大戦で敗戦国となった日本は1951年にサンフランシスコ平和条約に署名し連合国による占領期間を終え、主権国家としての地位を回復した。ただソ連(現ロシア)は同条約に参加しておらず、日ソは形式上、戦争状態が続いていた。
 鳩山一郎首相とソ連のブルガーニン首相が56年に結んだ日ソ共同宣言は日ソの戦争状態に終止符を打ち、国交も回復した。同宣言は平和条約締結後に北方四島のうち歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すと明記したものの、国後島と択捉島を含む四島全ての返還を求める日本の世論は反発した。領土を巡る対立は今も残り、日ロは平和条約を結べていない。
 こうした状況を打開するため、安倍晋三首相は2016年にプーチン大統領と会談し、領土交渉を「新たなアプローチ」で進めると合意した。四島での共同経済活動を含む経済協力で日ロの信頼関係を深め、領土問題の進展につなげる狙いだ。ただ日ロ間で共同経済活動の具体化は進んでおらず、領土や平和条約締結の交渉を後押しできていない。
日ロ平和条約