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残業上限規制

2018.9.1(土) 掲載
これまでの日本の労働時間規制の枠組みでは、時間外労働には上限が存在せず、事実上青天井で残業を強いられる環境にあった。政府は昨年3月に「働き方改革実行計画」をまとめ、罰則付きの残業上限を導入すると明記。残業時間は月45時間、年360時間を原則とするが、年720時間まで延長が可能だ。繁忙期は単月で100時間未満の残業を例外的に認める。今年の通常国会で残業規制などを盛り込んだ働き方改革関連法が成立。来年4月に施行される。
 長時間労働が常態化している医師や建設、運輸は5年間、適用が猶予された。運輸は猶予期間後も年960時間の規制となる。医師の場合は医療サービスの質の維持や応召義務、医師偏在との兼ね合いなど特殊な事情を多く抱えており、具体的な規制の枠組みは来年3月までに固めることになっている。
 医師にも一足飛びに一般労働者と同水準の規制をかければ、医療現場に混乱が生じかねない。厚労省が例外規定を設けるのも、医療の質の維持を重視するためだ。一方で医師の長時間労働は深刻さを増しており、健康確保や過労死撲滅を推進する立場との間でジレンマも抱える。
残業上限規制