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物価安定目標

2018.9.1(土) 掲載
日銀法は金融政策の理念を「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」としている。日銀は2013年1月、「物価安定の目標」を消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率で2%と定め、政府との共同声明で表明した。黒田東彦総裁は同年4月、「2年程度での達成」をめざして異次元緩和を始めた。
 日銀は16年9月の総括検証で「オーバーシュート型コミットメント」を導入。物価上昇率が一時的に2%を上回ってもすぐ緩和策をやめるのではなく、実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大を続けることを約束するものだ。
 だが2%の物価上昇の実現は日銀の想定より遅れ、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示す翌々年度までの物価見通しも、下方修正が続いている。18年4月にはリポート本文から達成時期についての記述を削除した。「2%の目標」を掲げたまま目標時期を定めなくなったことで、長期にわたり金融緩和が続くとの見通しが確実になっている。
物価安定目標