きょうのことばセレクション

制裁関税

2018.8.1(水) 掲載
知的財産侵害や不公正競争などを理由として、外国から入ってくる製品や食べ物に税金を上乗せすること。国内での商品の値段上昇につながる。関税引き上げを求められた相手国が報復措置として同様の関税の引き上げに動く例が多い。
 米国は2018年3月、安全保障を理由に制裁を可能とする通商拡大法232条に基づき、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動。それぞれ25%、10%の追加関税を課した。鉄鋼業の衰退で戦闘機製造などが弱体化し、安保面の脅威となっているとの主張だ。これに対してカナダや欧州連合(EU)など7カ国・地域がすでに関税引き上げの対抗策を表明。対象となる米国産製品は最大300億ドル(3.3兆円)に達するとされる。
 米国は1930年代にも恐慌に陥った際に「スムート・ホーリー法」で、2万品目の輸入関税を平均60%まで引き上げた。米国の製造業の景気は一時的には回復したものの、欧州が関税を引き上げたことで再び低迷した。現在の自由貿易体制は、保護主義の台頭で第2次大戦に至った当時の反省から生まれた経緯がある。
制裁関税