きょうのことばセレクション

化学兵器

2018.5.1(火) 掲載
サリンやVXガスなど、毒性のある化学物質で殺傷する大量破壊兵器。第1次世界大戦でドイツが行った毒ガス攻撃が初めての本格的な使用とされる。1925年のジュネーブ議定書で使用が禁止されたものの、日本を含む各国の開発・保有は続き、ベトナム戦争で米軍が枯れ葉剤をまいたなどの使用例もある。
 現在の国際社会では、化学兵器をタブー視する認識が浸透している。「貧者の核兵器」といわれ、資金・技術的に製造が容易で貧しい国やテロ組織にとって入手しやすい点が、大国による封じ込め議論を後押しした。1997年に開発・保有などを幅広く禁止する化学兵器禁止条約(CWC)が発効し、シリアを含む190カ国以上が加盟している。
 CWCの発効を受け、オランダ・ハーグに国際機関「化学兵器禁止機関(OPWC)」が設立された。各国の化学工場などを定期的に査察するほか、保有を申告した国による廃棄を監視するなどの活動を担っている。ただ、産業用の名目で保管する抜け道や、未加盟国や国家以外の組織には監視の目が及ばないといった限界があると指摘される。
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