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がんの死者数

2018.4.1(日) 掲載
厚生労働省の人口動態統計によると日本人の死因は1981年以降、一貫して「がん」が最も多くなっている。比率でみるとがんは28.5%で2位の「心疾患」(15.1%)、3位の「肺炎」(9.1%)を引き離す。がんによる死亡者数も高齢化で増加を続けており2016年は37万2986人で1985年の約2倍になった。
 粒子線を使った放射線治療やロボットを使う精密な手術など医療技術も日進月歩だが、現時点では再発や転移を完全に防げない。劇的な治療効果をもたらす「オプジーボ」などのがん免疫薬も登場するが、効果があるのは患者の2~3割程度。治療効果を高めるための研究が世界で続いている。
 がん患者の増加傾向に対し、政府は2017年10月に「第3期がん対策推進基本計画」を閣議決定し、遺伝情報に基づくがん治療といった対策を打ち出す。受動喫煙の数値目標が盛り込まれなかったほか、がんの再発や転移の防止といった根本的な対策に欠けるとの指摘もある。国民病ともいえるがんによる死者を減らすには官民が協力した取り組みが欠かせない。
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