きょうのことばセレクション

グレートモデレーション

2017.11.1(水) 掲載
 2000年代半ばから08年のリーマン・ショックに至るまでの間、株式や債券などの資産価格の変動幅が低下し、市場全体が安定した時期を指す。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ理事(当時)が04年にこのタイトルで講演したことで有名になった。
 こうした状況を生み出す背景にあったのが世界経済の緩やかな成長とインフレ率の低位安定の併存だ。ただ安定は永遠に続かない。世界各国の中央銀行による緩和的な金融政策と市場の安定は世界の投資マネーが運用リスクをとりすぎる状況を促し、リーマン・ショックにつながった。
 投資家の心理を測る指標とされ、米国株の予想変動率を示す米VIXは10月に入って9.19まで低下し、23年10カ月ぶりに過去最低を更新した。日経平均株価の予想変動率を示す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)も同じように低水準で推移している。株式相場の低変動の状態が長期間続いているため、市場ではその反動を警戒する声も一部で出始めている。
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