きょうのことばセレクション

ベア

2017.11.1(水) 掲載
 企業が社員の職務や勤続年数などで決めている賃金表を書き換え、賃金水準を一律に引き上げること。社員の年齢や勤続年数に応じて毎月の給与を増やす「定期昇給(定昇)」とは区別して使われる。賞与を算定する際に基本給を基準としている企業が多い。このためベアの実施は賞与の押し上げ要因にもなる。
 ただ、基本給の額を上げると景気の後退局面になっても引き下げるのが難しい。ベアは人件費の負担が後々まで増えるため、経営サイドは業績の安定が見通せる状況でなければ踏みきりにくい。支出が一時的な賞与増額とは異なる。連合は2014年から5年連続でベアを要求する方針。ただ今年は人手不足の交通・運輸などを除き、幅広い職種で前年実績を下回るなど賃上げの勢いが鈍った。
 安倍晋三首相は賃金上昇による消費の底上げを目指している。経団連や連合などと対話の場を設けて賃上げを求めてきており、こうした流れは「官製春闘」とも呼ばれる。安倍政権は最低賃金の引き上げにも積極的で、毎年3%程度上げて、全国平均1000円を目指す方針を掲げている。
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