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米国の税制改革

2017.10.1(日) 掲載
トランプ米政権は大型の法人減税を柱とする税制改革を成長戦略の柱に据えており、1980年代のレーガン政権を強く意識している。「レーガノミクス」に基づく86年の税制改正では、企業減税と個人の所得減税を組み合わせた。こうした改革がその後、IT(情報技術)産業の興隆など米経済の活力を取り戻したとの見方があり、トランプ政権は約30年ぶりとなる税制の抜本改革をめざす。
 90年代のクリントン政権では所得税の最高税率引き上げなどで財政赤字解消に道筋をつけた。2000年代に入り、ITバブルが崩壊した後にブッシュ(子)政権が導入した新税制は「ブッシュ減税」と呼ばれる。だが議会での与野党対立は激しく、抜本的な税制改革は 長年、見送られてきた。
 その結果、米国は国際的な法人税の引き下げ競争に出遅れ、法人実効税率は40%超と、20~30%台の他の主要国に比べて高い水準にある。トランプ政権は減税で企業負担を軽くし、投資増や生産性の向上を促して潜在成長率を高めることをめざすが、米国では財政悪化への懸念も根強く残る。
米国の税制改革