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特恵関税

2017.8.1(火) 掲載
 途上国の経済発展を助けるため輸入品の関税を撤廃したり、低い税率を適用したりする制度のこと。日本では1971年8月から実施。2017年4月時点で中国やインド、フィリピンなど140カ国・地域が対象だ。特恵関税の対象品目は、農水産品では輸入時に関税がかかる約1900品目のうち約400品目。鉱工業品では約4300品目のうち約3200品目が対象だ。鉱工業品は原則関税を撤廃しているが、農水産品の関税引き下げ幅は品目ごとに異なる。
 財務省は昨年11月開いた関税・外国為替等審議会で同制度の対象国の要件を見直すと表明。1人当たり国民総所得(GNI)が4036ドル以上、かつ世界の総輸出額に占める輸出額の割合が3年連続で1%以上に到達していた国を除外することを決めた。新要件下では19年4月に中国とブラジル、メキシコ、タイ、マレーシアの5カ国が対象から外れる見通しだ。
 特恵関税の見直しは国際的な潮流だ。欧州連合(EU)が14年に、カナダが15年に同制度の対象国の要件を見直した。財務省によると、日本で同制度を利用した輸入額は15年におよそ1兆円で、減免された関税額は約330億円に上るとみられる。
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