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新規株式公開(IPO)

2017.8.1(火) 掲載
 「Initial Public Offering」の略で、証券取引所に株式を上場すること。上場によって企業は自由に使える資本をまとまった規模で調達でき、事業拡大に活用する。IPOはその時々で伸びている産業の企業が多く、その顔ぶれは時代を映す。最近ではIT(情報技術)やサービス関連などが目立つ。一般的にベンチャー企業は東証マザーズ市場など新興市場に上場するが、LINEやJR九州のように、大企業や国有企業が東証1部に上場する例も多い。
 IPOが活発かどうかは景気や株式相場の動向に左右される。2000年前後のITバブルの際は年間で200社を超えたが、08年の金融危機後は20社程度まで減少。アベノミクス相場を受け、ここ数年は回復傾向だ。規制もIPO件数に影響する。IPO直後に業績見通しを下方修正して株価が急落する案件が相次ぎ、2年ほど前からは取引所が上場に必要な審査を厳格化。16年のIPO件数は86件と、7年ぶりの前年割れとなった。
 今年1~6月のIPO件数は41件と前年並みだが、「準備を進めている企業は多く、昨年は超える可能性が出てきた」(みずほ証券)との見方がある。最近では地方企業や大学発のベンチャーなど規模は小さくとも独自の事業を手掛ける企業が増えるなど裾野も広がりつつある。
新規株式公開(IPO)