きょうのことばセレクション

公募増資

2017.8.1(火) 掲載
 上場企業が不特定多数の投資家を対象に、国内外で新規の株式を発行して資金を調達すること。設備投資やM&A(合併・買収)などの戦略投資や株主資本の充実に加え、株主構成を変える効果もある。新株の発行価格は投資家の需要を踏まえ決定。通常、増資発表後、1~2週間程度かかる。
 株価が高いほど多くの資金を調達できるが、既存の投資家にとっては1株利益が希薄化するため、市場では売り材料視され、公募増資の発表後に株価が下落することが多い。その後、調達した資金を中長期的な企業価値向上につなげられるかで、株価動向が左右される。2015年に公募増資などで約4200億円を調達したソニー株は発表直後こそ大幅安となったが、業績拡大で足元の株価は増資前を上回る。
 公募増資が多かった09年は上場企業全体で約5兆円を調達した。当時は金融危機で傷んだ財務立て直しが主目的だった。その後、アベノミクスによる株価上昇で、15年までは調達額が増加したが、16年は1000億円未満に急減した。日銀がマイナス金利政策を導入し、株式以外で有利な資金調達が可能になったことが背景だ。
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