きょうのことばセレクション

国民皆保険

2017.7.1(土) 掲載
 国民全員が何らかの公的な医療保険に加入していること。大企業の社員を中心とした健康保険組合、自営業者などの国民健康保険、中小企業が中心の全国健康保険協会(協会けんぽ)などがあり、毎月保険料を支払うことで、医療機関を受診した際の窓口負担は1~3割で済んでいる。誰もが必要な時に必要な医療を安価に受けられる制度で、日本が世界最高水準の平均寿命などを実現した一因といわれる。
 高度経済成長期の1961年から皆保険制度がスタートすると、医療費は急増。同年度の国民医療費は5130億円にすぎなかったが、78年度には10兆円、90年度に20兆円、99年度に30兆円、2013年度に40兆円をそれぞれ突破した。背景に急速な高齢化や医療技術の高度化などが挙げられている。
 公的な医療保険とするため税金など公費が投入されている。医療費全体が増加するなか、公費負担も膨らみ、国の財政を圧迫している。財源に占める患者負担の割合は1割強。保険料は5割弱で公費が4割を占める。現役世代の保険料の引き上げなどで対応してきたが負担が重くなっており、所得の高い高齢者の窓口負担増などが議論されている。
国民皆保険