きょうのことばセレクション

天皇退位の特例法

2017.4.1(土) 掲載
 天皇陛下の退位について今の天皇に限って認める法律。一般に特例法は特定の人や地域、行為など対象や期限を絞って適用する特別立法の一種。特例法には、ほかに財政法で原則として禁じている赤字国債の発行を期限を設けて認める法律などがある。皇位の継承などを定めた皇室典範は一般法で恒久的に適用される。
 皇室典範では天皇の崩御による皇位継承を前提としており、生前の退位の規定がなかった。2016年8月には天皇が高齢で公務を果たすのが難しくなることなどを理由として退位の意向を示唆するお言葉を国民向けに公表した。これを一つの契機に、退位を認める立法措置の必要性が高まった。
 一般法の皇室典範を改正した場合は恒久的に生前の退位を認めることになり、将来、恣意的な退位につながる懸念があるうえ、退位の要件を明確に定めることが困難とされた。このため、今の天皇の事情に配慮した規定を設けて退位を認める特例法で対応することになった。
天皇退位の特例法