きょうのことばセレクション

日米安保条約第5条

2017.3.1(水) 掲載
 日米安全保障条約で米国が日本を守る義務を負うことを定めた条文。日本の施政下にある領域での「武力攻撃、共通の危険」に日米共同で対処すると規定する。1951年に結んだ旧安保条約では米国の日本防衛義務ははっきりと定めていなかったが、岸信介首相とアイゼンハワー大統領が合意した60年の改定で明確化された。
 2010年9月に起きた沖縄県・尖閣諸島沖の漁船衝突事件の際、当時のクリントン米国務長官は尖閣について「第5条の適用範囲だ」と明言。その後、オバマ米大統領も同様の考えを示した。トランプ新政権のアジア太平洋地域への関与に不透明感が漂うなか、日本政府は改めて尖閣が適用対象だと確認する必要があった。
 日本政府が尖閣をめぐる米国の立場の確認にこだわるのは、海洋進出を積極化する中国に対抗するためだ。尖閣周辺では中国公船が領海に侵入するなど挑発行為が続いている。韓国が実効支配している島根県・竹島に関しては「防衛義務は生じない」というのがこれまでの米国の立場だ。
日米安保条約第5条