年金の支給開始
2018年1月17日(水) 日本経済新聞 朝刊
年齢65歳基準に受給者選択
公的年金の支給開始年齢は、いまは65歳を基準として60~70歳の間から受給者が選べる。受給者が60歳の誕生日を迎えた月の翌月(誕生日が1日の場合はその月)から受け取れる。財政に大きな影響を与えないよう、支給額は受取開始時期によって加算または減額される。65歳より後で受け取る場合は、時期が1カ月遅れるごとに月0.7%刻みで支給額が上乗せされていく。65歳より早く受け取る場合は、1カ月早まるごとに0.5%ずつ減額される。
利用者が働き方に合わせて年金制度を使える仕組みは、平均寿命が延び続けていることを受け、さらに見直しが迫られている。内閣府が2014年に実施した意識調査では、仕事をしている高齢者の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答。「70歳くらいまで」は22%、「75歳くらいまで」は11%だった。高い就業意欲を持つ高齢者への対応は急務だ。
政府は5年ぶりに高齢社会対策大綱を見直す。原案では「70歳やそれ以降でも、意欲ある高齢者が能力を発揮できる環境を整える必要がある」と強調した。高齢者の就労促進に向け、企業も対応を進める。厚労省によると、従業員31人以上の企業のうち、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は16年時点で74%に上った。