wakaの日経、ここをこう読むby club Nikkey

経済ライター

若槻基文さんによる経済ニュース
解説

メガネスーパー、新店は大型車両 3年で110台、検眼機搭載 コロナ機に客の元へ(11月3日付日経朝刊 14P企業1面)

2020.12.17 掲載

 11月3日付の日経朝刊企業1面で、「メガネスーパー」を運営するビジョナリーホールディングスの移動店舗戦略の話題を大きく報じていました。同社は今後、通常店舗の出店数を抑える一方、移動店舗を増やす方針で、検眼機やレンズの加工機を積み込んだ大型車両を2023年末までに110台導入する計画だと記事では伝えています。

 このコラムで繰り返し解説しているように、コロナ禍に伴い、小売業や外食業などはリアル店舗をベースにしたビジネスモデルの見直しを迫られています。小売業が店舗販売の代わりに電子商取引(EC)を利用したり、外食業がメニューの宅配サービスを利用したりする例は以前も紹介しましたが、今回のビジョナリーホールディングスの事例は移動店舗を本格的に活用するという興味深い取り組みです。

 自分に合ったメガネを購入するには視力検査などが必要で、ECサイトで手軽に買うというわけにはいきません。記事にもあるように、ビジョナリーホールディングスは今年1月からトラックを改造した移動店舗を試験運用していました。車内に視力検査ができる検眼機や、レンズを削る加工機を備えており、接客から商品の受け渡しまで通常の店舗と同等のサービスを提供できます。車両代を含め、初期投資は通常店舗の2~3割程度で済み、メガネへのニーズが期待できる老人ホームなどに直接出向いて販売できる利点もあります。また、メガネスーパーは「JINS」など低価格店との差別化を図るため、以前から高価格帯にシフトし、接客サービスに力を入れていました。移動店舗であれば、そうした接客サービスの強みも生かすことができます。
 これらを踏まえ、今回ビジョナリーホールディングスは移動店舗の本格稼働に踏み切ったわけです。21年から毎年トラック3台、バン30~40台を投入し、上述のように23年末に110台体制にする考えです。

 記事でも紹介しているように、同社のほかにも良品計画が「無印良品」で扱う衣料品や日用品の移動販売に参入しています。地方の金融機関もコロナ禍を契機に移動店舗を活用する例が増えました。
 以前からスーパーなどが移動販売を手がけるケースはありましたが、交通の便の悪い過疎地などが中心でした。しかしコロナ禍で外出自粛が広がり、在宅勤務する人も増えたことから、移動店舗に対する新たなニーズが生まれています。宅配サービスに加えて、新たな販売チャネルとして今後本格的に定着していくのか、ぜひ注目したいところです。(waka)

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若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。