みんなの日経読みこなし

読み方マスター山野の「今日からできる!」日経活用法Vol.3無料のネットニュースやSNSと違う?新聞を読むメリット3つ

日経を仕事などにうまく活かすためのポイントを、「読み方マスター」こと日本経済新聞社の山野茂樹が紹介します。日経を読み始めた方が感じる疑問に答えます!

山野 茂樹
  • 日本経済新聞社 デジタル編成ユニット BtoCマーケティンググループ 上席担当部長
  • 1988年日本経済新聞社入社。2002年「日本経済新聞読み方講座」をスタート。以来20年以上に渡って「日経読み方マスター」として、企業のスキルアップ研修や大学の就職ガイダンス等で日本経済新聞・日経電子版の分かりやすい読み方・使い方をレクチャーしている。コロナ禍前は年間100回以上の対面講座をおこなっていた。2020年からはオンライン講座も実施。

今回の質問

  • 無料のネットニュースやSNSで情報収集する際の注意点、また新聞との違いなどを教えてください。

こんにちは、日経読み方マスター山野です。

世の中にはニュースサイトがたくさんあり、SNSでもニュースに触れることができます。手軽なうえ、多くの場合無料なので「ニュースチェックはそれで充分かな」と感じている方もおられるでしょう。

ただ、皆さんが普段インターネットで情報収集する際、きっと「あれ?」と違和感を覚えることがあるのではないでしょうか。大切なのは違和感をそのままにしておかないこと。まず注意したいのが「エコーチェンバー」と「フィルターバブル」という現象です。

「情報」が偏ると「認識」が偏ってしまう

「エコーチェンバー」は主にSNSで起こりがちなことです。たとえばX(旧ツイッター)。タイムラインに流れてくる情報は、当然ですが、自分がフォローしているアカウントが発信するポスト、リポスト、いいね、などです。つまりそこで目にするのは自分と似た価値観のものであることが多く、それを世の中全体の動きと思ってしまうと「ずれ」が生じてしまう、ということです。「エコー」というのは「こだま」という意味ですが、自分の言った言葉や特定の意見がより増幅されて返ってくる、そんなイメージです。

「フィルターバブル」はインターネットに備わっている機能、アルゴリズムによって起きる現象です。ネットの利用履歴、検索やクリックの好み・傾向がAIで分析され、利用者に最適化された情報が優先して表示されたり、「おすすめ」で出てきたりするようになります。結果、その人が好まないと思われる情報に接する機会が少なくなり、自然と認識が狭まっていくのです。フィルター(遮断)のせいで自分が大きなバブル(泡)に囲まれたようになってしまう、そういうイメージで捉えてみてください。

「情報が偏る」ということは「認識が偏ってしまう」ということです。ネットニュースやSNSで情報収集する際にちょっと注意してみましょう。

新聞の良さは「重要度合がわかる」「セレンディピティ」「見出しに結論」

ではそうした情報と新聞の違い、また新聞の良さとはなんでしょうか。ひとつは「一覧性」です。紙の新聞や日経電子版「紙面ビューアー」で見れば一目瞭然。重要な記事ほど大きく報道されているので記事の大きさで重要度合が一目で分かります。ただここで重要なのは「誰にとって重要なのか」ということ。つまり「世の中・社会にとって重要」である、これがポイントです。

経営コンサルタントの小宮一慶さんは、ビジネスをする上で「自分の関心を社会の関心に合わせることが大事」だと仰っています。正にその通りと私も思います。たとえばどの新聞でも「1面右上」で大きく報じているトピックは、その新聞社が考える「最重要ニュース」です。自分の関心事だけに情報が偏らないよう、毎日チェックしてみましょう。
※「自分の関心を社会の関心に合わせる」ことに触れた小宮一慶さんのインタビュー記事です。ぜひ読んでみてください。

また「セレンディピティ」も新聞で活用してほしい良さの一つです。セレンディピティは「思いもよらない偶然がもたらす幸運」といった意味で、新聞ではたまたま開いたページで自分が予想していなかった役立つ・面白い記事に出会えます。ネット検索で知りたい情報にたどりつくこととは一味違う、新聞ならではのセレンディピティです。エコーチェンバーやフィルターバブルに左右されることなく情報収集できるのが新聞です。ぜひ一覧性やセレンディピティを意識しながら、日々の新聞をお役立てください。

ネットニュースと異なる新聞の良さについて、もう一つお話します。それは「見出しにしっかり結論が書かれている」ということです。ニュースサイトで見る記事には、見出しに結論が無い場合が少なくありません。クリックを誘うように疑問形で終わっていたり、記事内容を誇張するような見出しがついていたり。対して新聞の見出しは、その記事が「何を伝えるものか」を簡潔に伝えています。よく「新聞は見出しを眺めるだけでも世の中の動きが見えてくる」と言われますが、それは見出しがしっかりと結論を伝えているから。ぜひ意識してほしい新聞の「一覧性」です。

イラスト/大崎メグミ

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