みんなの日経読みこなし

読み方マスター山野の「今日からできる!」日経活用法Vol.2日経を採用面接の「逆質問」に活かすには?

日経を仕事などにうまく活かすためのポイントを、「読み方マスター」こと日本経済新聞社の山野茂樹が紹介します。日経を読み始めた方が感じる疑問に答えます!

山野 茂樹
  • 日本経済新聞社 デジタル編成ユニット BtoCマーケティンググループ 上席担当部長
  • 1988年日本経済新聞社入社。2002年「日本経済新聞読み方講座」をスタート。以来20年以上に渡って「日経読み方マスター」として、企業のスキルアップ研修や大学の就職ガイダンス等で日本経済新聞・日経電子版の分かりやすい読み方・使い方をレクチャーしている。コロナ禍前は年間100回以上の対面講座をおこなっていた。2020年からはオンライン講座も実施。

今回の質問

  • 現在、就職活動中の大学生です。採用面接で良い「逆質問」をするための日経電子版活用法を教えてください。

こんにちは、日経読み方マスター山野です。

採用面接で企業側から「何か聞きたいことはありますか?」と投げかけられることがあります。いわゆる「逆質問」です。

逆質問で聞く内容は大きく二つのパターンに分けられます。一つ目のパターンは「入社後の待遇について質問する」です。希望の部署に配属されるのか、転勤はあるのか、研修制度はどのようなものか、福利厚生など、やはり気になりますよね。

ただそのような情報は企業サイトの採用ページなどである程度、知ることができます。特に社員のウェルビーイング(心身の健康や幸福)に力を入れる企業の多くは、「採用広報」として待遇の良さや充実した福利厚生などをアピールしています。

良い「逆質問」のため、企業の戦略を理解する

私のおすすめはもう一つのパターン、「企業の戦略に関連付けて聞く」です。

「戦略」とは堅苦しい言葉に聞こえるかもしれませんが、たとえばB to C(消費者向け)企業であれば、「新たな顧客獲得のためどのような商品を開発し、どんなプロモーションを展開するか?」といったことですね。戦略を理解していることを示し、「入社後はそうした業務に携われるか」「自分の資質・経験はそこでいかせるか」「(面接担当者は)その中でどのようなやり甲斐を感じているか」「今後の展開は」などを聞いてみる。当然ですがその質問をするためには前提として「現在の戦略」を知っておく必要があります。

そもそも、なぜ面接担当者は「何か聞きたいことは?」と尋ねるのでしょうか。それは就活生が自社についてちゃんと理解しているか、つまり「本気度」を知りたいから、なのです。逆質問は「自分の本気度をアピールするチャンス」です。採用ページを見ればわかることを聞くのではなく、企業の戦略を理解して逆質問してみましょう。逆質問だけでなく、エントリーシート(ES)や面接で志望動機を伝える際にも同様のアピールが可能です。

電子版「Myニュース」で志望企業を登録

企業の戦略を理解するうえで、まず活用してほしいのが「Myニュース」の「企業・業界情報フォロー」です。電子版トップページ上部にある「日経会社情報」(日経会社情報DIGITAL)で志望する企業を検索し、企業名の横にある「フォローする」をクリック、「フォロー済み」にしましょう。「Myニュース」の「企業」でフォロー済み企業の最新ニュースをまとめ読みできます。「日経会社情報」には上場・非上場あわせて企業約4,200社の情報が常に更新されています。また「Myニュース」の「新しいフォローを追加」で、企業名だけでなく「業界」や「キーワード」をフォローすることもできます。

※「Myニュース」では記事を保存することもできます。「企業別」「業界別」にラベル分けして、面接前などにチェックしてみましょう。企業登録、記事保存などの操作方法はこちらをご覧ください。
https://www.nikkei.com/promotion/onboarding/guide/

一(いち)企業の記事から「業界の動向」を読む

日経電子版「ビジネス」セクションや、日経朝刊「ビジネス」面は主に「ミクロ記事=個々の企業ニュース」のページです。ここでも企業の最新戦略をチェックしてみましょう。

多くの場合、見出しに「企業名・業界名・ブランド名」が記されているので、志望する企業の関連記事が探しやすいページです。ここで意識したいのが「一企業の記事から業界の動向を読む」です。

たとえばトヨタ自動車が電気自動車(EV)向け電池の研究開発を加速させる、という記事に「車載電池の世界シェアは中国が5割を占めており、有事でも安定調達できるサプライチェーン(供給網)構築が急務」と、「自動車メーカーに共通する課題」が書かれています。

日本経済新聞2023年6月17日付 朝刊

また「セブン&アイ・ホールディングス」が食品ロスを削減するために食品の賞味期限による納品ルールを緩和する、という記事でも競合のコンビニ、スーパーや関連企業の食品メーカーの同様の動きについて触れていたりします。

日本経済新聞2023年4月3日付 朝刊

つまり志望企業の記事でなくても「業界に共通する環境変化や課題、ビジネスチャンスが読める」のです。「ミクロ記事からマクロな情報を読む」、日経記事だからできる「一歩進んだ企業研究・業界研究」です。逆質問でも業界に共通する課題などに触れながら、自分の「本気度」をアピールしてみましょう。

  • 金融業界(銀行・証券・保険)志望の方は日経朝刊「金融経済」面で個々の金融機関の戦略や、監督省庁である金融庁の動向をチェックしてみましょう。

「日経会社情報」でプレスリリースもチェック

「日経会社情報」でぜひチェックしたいのが企業の「プレスリリース」です。個々の企業ページを開くと株価や最新ニュースなどが読めますが、さらに「企業発情報」をチェックしてみてください。

「適時開示速報」や「プレスリリース」は企業が投資家などに向けて発信する情報であり、最新の戦略を随時、リアルタイムでチェックできます。本気度を伝える・自身を差別化するために効果的な情報として活用してください。

山野から就活生の皆さんにメッセージ
「情報を制する者はビジネスを制する」という言葉があります。これは就職活動も同じ。つまり「情報を制する者は就活を制する」のです。情報を自分の強み・アドバンテージにして最高の就活をしましょう。がんばってください!

イラスト/大崎メグミ

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