――目的は起業ではなく、能力のある人たちが活躍できる環境作り!
5年ほど前に、会社を辞めてコミュニケーションエージェンシーを立ち上げました。現在は、代表取締役として組織のマネジメントをしながら、企業の情報発信、コミュニケーションのサポート、企業経営層に対するコーチング、リーダーシップなどの研修を行っています。私はもともと「起業がしたい!」というタイプではありませんでした。会社を立ち上げたきっかけは、出版やメディア業界の仲間の多くが、フレキシブルに働き続ける環境が整っていなかったからです。能力のある人たちがもっと活躍できないかと考え、様々な得意ジャンルを持った経験者たちが登録できる組織を作り、案件ごとに対応可能な適任者が担当していける現会社のシステムを整えました。
――フリーの組織だからこそ大事な「クオリティー」と「モチベーション」
はじめは、新聞社や出版社出身の知人友人など5〜6人でスタート。ビジネス書籍の編集からはじめました。今は、80人前後の多彩なスタッフが揃い、取材、執筆、編集、翻訳をはじめ、様々な企業の情報発信、コミュニケーションのサポート、コンサルティングなどを行っています。登録者は、日本全国はもちろん、海外にもいます。居場所も立場も異なる人員で構成された組織として、仕事のクオリティー、個々のモチベーションを保つことはとても大切です。そのために、登録者を集める広告宣伝などはせず、必ず直接お話をしてお仕事ぶりやお人柄などをお互い知ったうえで、登録いただくようにしています。実際のビジネスシーンでは、クライアントとのやりとりの窓口として、私、もしくはもうひとりいる事務所の者のどちらかが立ち、進行管理や業務フォローを行なえるようにしています。また、登録メンバーたちとのコミュニケーションを密に取り、お互いのモチベーションを高め合うように心がけています。これも、仕事の質を向上させる大事な取り組みです。
――自分は何者だろう?
大学では国際関係を学び、卒業後最初に就職したのは外資系企業。英国系の航空会社です。私は、もともと在日3世で高校まではコリアンスクールに通っていました。韓国語を話す同級生に囲まれているけれど、自分は東京生まれの東京育ち。「私は何者だろう?」と思いながら過ごしていました。アイデンティティーへの意識は高かったと思います。大学1年生の時に訪れた英国で、いろんな人達が入り混じり暮らす社会を見て「別に私のような存在は特別ではないんだ」と気が楽になったことを覚えています。そんな経験も、外資系企業を希望した理由のひとつですね。
――客室乗務員から編集者へ転身
外資系の航空会社では、1年目でもアナウンスもやればビジネスクラスもまかされるので、3年もするとひと通りの業務ができるようになります。当時、国際線の勤務サイクルでは、平均すると1カ月の半分が休みになることもあり、その時間を少し持て余すようになりました。趣味を楽しむよりは、仕事を通じて常に成長していたいと思っていた時に、とある作家さんと出会い、その方の出版のお手伝いをするようになったのが、キャリアチェンジのきっかけでした。それから出版業界へ転職。ビジネス書を扱う出版社や新聞社を計6年半ほど経験し、様々なことをアウトプットしていける楽しさ、いろんな人の思いを出版物という形に残していける充実感を味わいました。そして、そのなかでの素敵な人たちとの出会いが、会社設立へとつながりました。
――会社設立の2カ月後に妊娠が発覚!
新しい会社が始動して2カ月後に、なんと妊娠が発覚。設立1年目を迎える前に、出産を迎えることになりました。私は、出産予定日の3〜4日前にも打ち合わせの予定を入れていたほどで、正直、出産や子育てを甘くみていました……。子供が生まれるとすべてがガラリと変わりました。子供は夜眠ってくれないし、外出はできないし、部屋中が汚れるし、もうなにもかもが思うようにならない。出産直後は、ほとんどウツ状態でしたね。同業者の夫は仕事への理解もあり、また、近隣に住む私の母も全面的にサポートしてくれたおかげで、なんとか乗り切りましたが、あらゆるほかのお母さんが素晴らしく見えました(笑)。“自分でプロジェクトを仕切ったり、時間管理をして働いてきた女性ほど、子育てというコントロールのきかない事態にうまく対応できない”という話を後で聞きましたが、なるほど、と思いました。本当に辛かったです。
――この春、大学院に入学します!
この春からは、慶応義塾大学の大学院へ通って新たな勉強を始めることにしました。メディアやコミュニケーションに関する学科で、まだ新設されて数年なのですが、インターネットが発達し、企業のコミュニケーションが多様化する中で、企業やリーダーのコミュニケーションがどうあるべきか学んでみたい、また、いつか近くで学んでみたいと思っていた素敵な方が教授を務めていることを知り、受験を決めました。なんとか合格し、春からは仕事&子育てをしながら大学院生です(笑)。どうなることやら。
――自分の仕事に誇りを持って、世の中の役に立つ
私の母も祖母も、ずっと仕事をしていましたし、よく勉強する人でした。その姿を見て育ったせいか、働くことは苦痛なことではなく素敵なことであり、いくつになっても学ぶ姿は誇らしく思います。かつては仕事を家庭に持ち込むことを良しとしない時代もありましたが、今では、親が子供と仕事の話を共有することにも意味があると言われるようにもなりました。幼い娘たちが20歳を迎える頃には、仕事のあり方自体、今とはまた変わっているだろうと思います。人には正解がありませんし、いろんな人がいていい。それぞれが、自分の仕事に誇りを持って、世の中の役に立つように生きてほしいと思います。そんな未来を願いながら、今は、能力のある人たちがいろんなスタイルで活躍できる場を提供していきたいと思っています。また、グローバル時代と言われる中で、日本にはよいものを持っている企業がたくさんあるのにうまくそれを発信できていないところがあるので、企業やリーダーのコミュニケーションを通してそのサポートをしていけたらと考えています。
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